2008年7月22日火曜日

陸奥湊駅前再開発は出来るの? 3


青森県と八戸市、そして商工会議所が昭和51年に「八戸市港地区商店街報告書」には幾つもの提案がある。
1.診断の目的
 湊地区商店街は、昭和47年度に実施された商店街診断において、その立地条件の厳しさが指摘された。以降さらに、中心商店街の商業集積が進むと同時に周辺地区の商店街区化か進展中であり、湊地区をとりまく環境は一層厳しさを増してきている現状である。このため、湊地区商店街においては、前回診断時に比較し地盤沈下の兆候が見られる。
 そこで、今回診断はいかにして湊地区商店街の地盤沈下を防ぎ、かつ長期的な繁栄を築くかの基本的プランを提示することを目的としてなされたものである。
診断をしたのは県、市と商工会議所は協力とある。診断長は県経営指導課長蝦名博之、八戸市経済部長正部家種康氏の名も見える。
 診断並びに基本計画の前提となる制約条件
1.生鮮卸売市場と小売市場の今後
 生鮮品の流通機構については、中央卸売市場法による農林省のレイアウトにより、青果物については農林大臣許可にて、東北地方では八戸のみ青果中央卸売市場として昭和52年に開設することとなっている(目下建設中)。従って、魚加工品の付属店舗が一部出店されることはあっても、これに鮮魚の卸機能が付加される心配はないと思われ、従来通り鮮魚卸売市場として小中野・舘鼻・鮫の3市場が産地市場として認められるわけである。
 小売市場については、引揚者の救済対策の一環として立地した湊の小売業者の中から市公設市場条例により、小売機能をもって営業させ、これを核として隣接して駅前に十数ケ所の私設市場が経営され今日の姿となっている。
 今後の問題点として、二次卸としての市場入居者と、これが小売を兼業しているための業者マージンの面でのメリットよりも、消費者に対するサービス、小分け包装販売の人手不足等の面でのデメリットの方が強く出てきており、周辺地域のスーパーマーケットの清潔さと、プリパッケージの消費者習慣の定着により、消費者の市場離れが促進される心配があることである。
 今後、これらの2つの機能の明確な分離による専業化が問題となろう。
2.国鉄駅は現状維持とする
 「地域近代化計画」のプランにおいては駅舎の南側への移転を前提とし、市場の南側への移転を打出しているが、本町商店街の現状を考慮して、国鉄駅は現状のままとすることを前提として基本計画を考えることとする。
(県の考えは駅移転の大構想・権力は偉大)
3.本町と駅通りと柳町の一体化を前提とする
 本町商店街は、旧湊船溜りの機能を利用して、上陸船員を主対象として発生した超地域型買回り性男性向中心商店街として形成された街区である。駅通りは、市営市場を中心とした市場群を対象としてその小売機能に対して集中した消費者を対象とした、地域型準買回り性主婦向中心商店街として形成されたものである。柳町は、駅前の機能を補完し、地区型最寄り性主婦向近隣商店街として、より特化した街区であり、それぞれ異質の街区である。
 この異質の3街区が、歩車道の区分はほとんどなく頻繁な車両通行量にさえぎられ、ばらばらに機能しており、その力と機能を充分発揮することなく極めて不利な立地粂件のもとで、増加する後背地の新興商店街に安心して買えるという魅力のために、漸次その商圏を侵蝕されつつあるのが現状である。
 この対策としては、これらの異質ではあるが、これを一ケ所に集積することができれば巨大な力と魅力を持つに違いない3街区を、一体として機能せしめることが前提となる。
4、基本計画の作成の方式
 今回の基本計画にあたっては、地元経営者のニーズを極力とり入れるため、話し合いによる地元の意向を吸収するにつとめる考えであるが、提案のあり方として、抜本的に思い切った案を作成するのみでなく、現状の市区構成はそのままとしてその中で改善可能な点を考えて最善と思われる案と、さらには現状の街区はそのままとするが街路を通路として考え、駐車場・モールをやや架空的に思い切って配置する案を作成し、計画のウェイトはあくまで抜本案とするという作成方式で提案することとする。