2008年7月26日土曜日

郷土八戸に新聞誕生 奥南新報 明治四十二年 2

小中野新地の出火
去る二十三日午前三時四十分当郡小中野村新地貸座敷渡世(とせい)大喜楼事大久保キエ方より出火し全焼家屋十六軒戸数十八戸を焼失し同日午前五時鎮火したり
△ 出火の原因は大喜楼大久保キエ方に於いて二階客座敷のランプを過って取り落とし女一人にて之を消しとめんとせし
苫米地惨火の賠償
要求の必要については本紙は早くも主唱して村民の注意を促したる所なるが鉄道庁に於いても其の発火の原因について同情を表し調査の結果一戸に付き二百円宛て合計一万七千円を補償するに決し現金は早速県庁へ向け送致し夫々分配方を依頼するの外家屋建材料等は十分便宜を計り運賃を軽減する筈なりと機敏の処置と言うべし
近火お見舞い御礼
小中野村新地 一月二十三日
開進楼 大山トメ
    川守田周蔵
小中野村新地
浪打義也
浪打セン
小中野村新地
   柳本楼
小中野村新地
  新陸奥楼
小中野村新地
  魁春楼
  石橋タマ
小中野村新地
  万葉亭支店
小中野村新地
  曙楼
  音喜多サエ
小中野新地
さめや 桃太郎
   新陸奥 むつ子
   同   花吉
   柳本楼 もと
   万葉支店 ふく
小中野新地
小松楼 
音喜多駒吉
同  モト
同  コマツ
同  リセ
同  美代吉
下長苗代の出火
去る二十二日午前十時頃三戸郡下長苗代村大字河原木九番地士族阿部義勝方より出火し同所一軒を消失し十時二十分鎮火原因は塵芥を焼きたる火の取り扱い疎漏より起こる損害約三十六円位
売春婦の拘留
当町大字二十三日町当時堤町番戸不詳平民寅之助長女滝川ツ子(一九)は去る二十四日午後十一時半頃市川村の某を捉え密売淫最中査公に踏み込まれ拘留十日の処さる
田村活版所の好評
数年前当新新町に開業せる同活版所は熟練の聞こえある田村欣造氏の経営に係り印刷鮮明本精巧殊に廉価を主とし速調するより注文常に断ゆることなく外部は大渡福次郎氏担当し日々車輪的に勉強する等世間の好評を博しつつあり
非兼任について 八戸町長と消防組頭
前略 北村町長が名誉ある消防組頭を兼任し侠客肌を好むは去ることながら、新参政治屋として組頭を兼任するは、衆望と金の威光なるかを知らざるも、一般は甚だ面白からざる感情を以って解釈しつつあるは事実なり、消防組は軍隊と同じく、絶対的政治上に関係すべからざること敢えて多言をまたずと雖も、新参にも地方に於ける政界の一小星を以って任ずるが為、一波瀾を生ずる毎に、動もすれば世人をして其の間に疑惑を抱かしむる跡あるは、町長は兎に角、清浄無垢なる義勇的消防団の為、大に冤とし且つ惜しむ所なり、消防団固と其の人に乏しからず、又公私の別に明らかなるを以って仮令町長が組頭たる本務を笠にして誘惑するに意ありとするも、其の手に籠葢せらるるが如きは、萬有り得べからざる道理なり、然れども新参政治屋町長として兼任するが為、世人の疑惑を惹くに至れる次第なるを以って、町長として在任中は宜しく其の関係を明らかにし、其の襟度を示すの必要より、断然組頭を辞任し消防団をして不羈独立の体面を尊重し、倍々其の本領を発揮せしむべきなり、而して後任者の如き、何等政治上に関累を有せざる、予備将校の類より抜擢するを得ば、頗る適当なるのみならず、規律も亦随て厳正に庶幾かるべきは言を要せざるべし