2008年7月17日木曜日

雀の嘆きを誰が知る、またたく命を誰が泣く

今、小雀が飛び立つ頃、道路を少し飛んでは休み、また飛ぶ小雀を見る。一年で今が一番良い気候だ。そんな時に雀が子育て。母雀が横で心配そうに見つめる。車の運転にはこの小雀に気を配ってくれ。潰れた小雀を母雀が車の往来を気にしながら、何度も傍に寄るが、小雀は次第に車輪の下でペチャンコになった。長横町だ。
 母雀の嘆きはチュン、やはりチュンでしかない。電線に止まって、下を見てチュン。寂しかったろう、悲しかったろう。それでもチュンだ。そのうち飛び去った。情けないもんだ。心が痛む。
 類家の二号公園で、一人の婦人がタバコを長い時間かけて吸う。いとおしそうに、一本のタバコをじっくり味わう。頬がこけ、眼窩は落ち、毛髪は帽子に隠れてはいるが、ほとんどない。抗癌剤の副作用だろう。少し離れたところにご主人らしい人。
 タバコを吸い終ると促されて車に乗り込む。車は新車だった。病院に戻るのか、車のウインカーが点滅し、そして消えた。たった一本のタバコ、命のまたたく人には重みがある。
 この一本のタバコのように、我々は今日、一日を生きたのだろうか。