2008年10月17日金曜日

小林市長の市内漫遊


水戸黄門が諸国漫遊した話を日本人は大好き。芝居、講談、落語にも登場、TVでは東野栄治郎が14年好演し、悪役、頑固役を払拭し、黄門は東野にとられた。
 黄門てのは中納言の唐名、他にも沢山中納言はいたが、黄門は水戸光圀にとられた。祖師は日蓮にとられ、大師は弘法にとられ、奉行は大岡にとられ、庶民は市役所に税金をとられる。
 小林市長は八戸を離れ東京で役人、それが前回の市長選で、八戸高校の学友、故工藤市議の引きで当選、八戸のファーストレディーにかあちゃんがなった。将棋の歩が成金になったようなもの。夫婦で八戸を知ろうと行脚を重ねる。この夫人の明るく癖のない態度を好感する声が多く聞こえる。
 八戸を長く離れ実情を知ろうと初年度は22の公民館を中心に実情の見聞、二年目は同所を重ね見分、三年目の選挙の年は検分と、行政が地域とどう連携できるかを探る作戦。
 日本が戦争に負け、海外から軍人、軍属350万人が帰国、食糧不足で八戸では木造漁船を二つに切り、間に材木を入れこみ、再度接合し船を巨大化して漁獲高向上作戦。勿論、違法だが国がこれを認めた。
 国家は国民の餓死を防ぐためなら法をも枉(ま)げる。多くの医師が従軍し戦死、医師不足を補うため衛生兵に一定の教育をし、医師免許を与えた。歯科医も同様、技工士に免許。
 国も国民もなりふりかまわず必死に生きた。そして、もはや戦後ではないといわれる活況をみた。ここから役人が汚くなった。国民を守るから、国民を餌にした。天下りという食いすぎの腹下りにも似たズルい手段方法で国民の税金を我が物とした。
 近代国家は聞いてあきれる。法治国家は役人がうまく立ち回るために法を作り、自分たちの利権を守る。昔ヤクザは無宿人が食えないために、通り者(名が通っている人)のところで食う。地域を縄張りとして、そこからカスリを取る。役人は法をつくり堂々とやる。政治家も時代を超えた通り者、ここで食えない、あるいは自分も政界で身を立てたいと秘書をやり、企業から献金を取り縄張りとする。何のことない、日本は江戸の頃とそんなに変っていない。
 カスリはカスミともいう。仙人はかすみを食うというが、仙人が食うのはこのカスミ、かすみは縄張りのことだ。
 さて、小林市長の漫遊は22中学校区に一つ設置された公民館の巡回、協同の町つくりの美名が冠だ。協同の町つくりは市民の力を活かし町の活性化が主眼。
 ところが町内会への入会者が減っている。地域との結びつきが弱くなっている。昨16日は柏崎公民館で18時半から漫遊が開催され、六十名近くが集まったが、半数は公民館、町内会から動員された人々。
 そこで市民から爆弾発言「市役所の職員で町内会に入っていない人がいる」「それについて調査しました、八割しか入っていないので、積極的に加入するように社長の私も折に触れて言います」と小林市長。
 協同の町つくりにそっぽを向いているのが市役所職員では、カラ念仏。こうしたもんだ。市長が誰だろうが職員は気にすることじゃない。市長も伊調姉妹にも会わなければならない、議会で答弁しなければならない、水道企業団、広域事務組合の議会にも出ると公務がこうまで忙しいとは思わなかったが本音だろう。
 それに新規事業の港と中心商店街への箱物と、頭の中はグルグル廻るメリーゴランド。終いにパンクだ。職員を味方だと思うな、彼らの中には折りあらば一泡食わせようと虎視眈々、赤い眼をした奴ばらも、確かに居るのを見る。
 八戸を深堀する、これは戦後の農林省が米の収穫高を上げるために鍬を大きくし、深く土を掘り起こすことを奨励し、根が深くはり、収量を五割増しとした。
 小林市長はこの深堀を知らないだろうが、今していることは公民館を中心としての人の深堀。これが功を奏して再選があるのか。右腕、工藤市議を失った今、小林市長の正念場が選挙までの残り一年。