2009年1月3日土曜日

昭和34年の八戸

おみやげどっさり
南郷・捕鯨出稼ぎ、続々帰る

第十三次南氷洋捕鯨オリンピックに参加したわが国の捕鯨船団はこのほど好成績をあげて帰ってきたが、三八地方から参加した出稼ぎ者は「出 稼ぎ村」として有名な南郷村の百六十名を筆頭に約三百人。いずれも大洋漁業の日新丸、第二日新丸、錦城丸船団の母船や冷凍船、仲積船の作業員として活躍。帰港のトップは錦城丸船団で今月はじめ帰ってきて以来、さる十二日には主力船団の日新丸と第二日新丸船団が横須賀に帰港。今回のオリンピックでは日新丸の優勝、第二日新丸の五位をはじめとし好成績。出稼ぎ者たちの報酬も多くおみやげをどっさり持ち帰り家族を喜ばせた。
郷土民芸制作者の顕彰で八戸から二人が受賞
全国郷土玩具友の会第一回玩具大会は四日山梨県甲府市で開かれ、この日玩具つくり一筋に生きてきた全国の民芸制作者五十人が顕彰されたが、八戸市関係では八幡馬つくりの大久保岩太郎さん(五七)市内笹子、八幡のまといつくり田頭松蔵さん(七九)市内二十六日町の二人が受賞し、賞状と山梨の代表的民芸品である印伝(いんでん)の財布が記念品として贈られた。
大久保岩太郎さん一家は親子三代に渡る八幡馬つくりとしてあまりにも有名で、その素朴な作風は東北の馬のひなびた風格を端的に表現していると定評があり今回の受賞となったもの。また八幡まつりの「まとい」つくりをしている田頭さんはこの道に四十年生きてきた人だけに八十になろうとしているいま、なおまといつくりが夢で、老いをしらない確かな手先で巧みにまといをつくり、八幡まつりには出品販売し、この郷土玩具が八幡まつりの一つの名物にさえなっている。
八戸市にもスーパーマーケット(昭和三四)
県下では二番目、村井酒造湊支店で
五日から新装開店
八戸市でこのほど初めてセルフサービスの商店が現れた。いわゆるスーパーマーケットと呼ばれ、お客がみずから自由に商品を選び出口のレジスターで会計をするという方法だ。最近の商店の経営方式として世界的に人気を集めているものだが、県下では弘前市(去年暮れに出現)に次いで二番目。さる五日から新装開店した陸奥湊駅前の村井酒造湊支店がそれである。
店内は二百五十平米、商品棚はゴンドラ式と呼ばれる並べ方で、従来のカウンター式、ウインドウ式にくらべ数倍も動線(お客が歩く通路)が増えた。商品類も従来の一般調味料、酒類、砂糖、漬け物などに精肉、惣菜類、雑貨などを加えて、鮮魚、野菜類を除いては台所はここだけでまかなえそうな豊富さである。支店長の村井淳平氏(二十六)はセルフサービス転換の直接動機は食料業界 新聞に載った記事と日本ナショナル金銭登録機の講習会にあるという。講習会の帰りに盛岡市に寄ったが、すでに数軒の店が導入、東北地方では初だったが、その見聞を店舗拡張に生かした。
開店以来一週間だが売り上げは以前の倍、値段も市価の5%引き、村井氏は①動線が増えたので場所の有効活用ができる。②売り上げが上昇し資本回転が良くなる。同店の出現で東宝劇場前に新築中の東宝ストア、赤十字病院前の蔦林商店、上組町の佐々木商店などがセルフサービス方式を検討中。
スーパーマーケット出現で心配顔の小売り業者
スーパーが三軒でき人気を呼んでいる。開店早々の客の出足は好調。経営者は図に当たったと喜んでいるが、一方スーパー付近の小売店は今後を心配。スーパーと小売店の食い合いは今後の問題になりそうだ。
二十八日町に開店したTストアは従業員一人あたりの売り上げ平均が約二万五千円、予想した二倍のお客だったという。スーパー出現の物珍しさの客もあったと見ているが、開店サービスが終了した後も従業員一人あたりの一日の売り上げを一万円と見ている。問屋はこれらスーパーに積極協力。付近商店街は目に見えて売り上げは減少していないが今後は脅威になると見ているが対策については何も考えていないと消極的。スーパーがセルフサービスならこっちもサービスだと一部商店はサービス戦術に出ようと競合は激化の模様。